動脈管開存症に対するカテーテル治療
動脈管開存症は、動脈管を流れる血液の量が多いと心不全の原因となります。
小さな動脈管でも感染性心内膜炎の予防のために治療を検討する事があります。
動脈管開存症に対するカテーテル治療
疾患の概略
動脈管開存症とは、心臓から肺へ血液を送る肺動脈と心臓から全身へ血液を送る大動脈をつなぐ動脈管が出生後もつながっている疾患であり、2000人に一人位の頻度でみられます。(図1) 動脈管はもともと、胎児の状態では開いており、出生後自然に閉じるのが一般的ですが、生後自然に閉鎖せずに肺動脈と大動脈がつながったままの状態でいると、血圧が高い大動脈から肺動脈の方に血液が流れ込むようになってしまいます。その結果、肺動脈に流れる血液量(肺血流量)は増加して、心不全に陥る危険性があります。
小さな動脈管でも心雑音が聴こえる場合には、大動脈から肺動脈に流れ込む血液は少なくても、抜歯などをきっかけにして「感染性心内膜炎」という病気になる危険性があります。
画像提供 アボットメディカル合同会社、日本ライフライン株式会社
対象患者さん
治療療法の選択においては、一番小さな直径が2mm以下の動脈管では、コイル塞栓術が選択されることが多く、直径2mm以上の動脈管の場合は、 アンプラッツァー動脈管開存閉鎖システム(図2)による閉鎖術もしくは外科治療の適応となります。
成人期の動脈管開存症では,動脈管の石灰化や動脈瘤など血管の脆弱性が認められるため、低侵襲なアンプラッツァー動脈管開存閉鎖システムが多く用いられます。
僅かな負担で治療可能です
治療は局所麻酔下に足の付け根からカテーテルを挿入して行われます。下図の手順でニッケル・チタン合金(ニチノール)製の閉鎖栓が留置され、血栓化する事で動脈管は閉鎖されます。
術後は3-4日の経過観察を行いまして退院となります。全体での入院期間は6日程となります。
Q&A
Q: 術前にどのような検査が必要になりますか?
A: レントゲン、心電図、経胸壁エコー、造影CT、血液検査などです。
Q: どのようにしてカテーテル治療か開胸手術の適応を決めますか?
A: CTで動脈管の形態やサイズを確認します。ほとんどの例でカテーテル治療が選択されます。
Q: 退院後の生活で注意点はありますか?
A: 日常生活は可能ですが、閉鎖栓が安定するまでの約1ヶ月間は運動を避けて下さい。治療後3ヶ月間は感染性心内膜炎の予防が必要となります。
Q: カテーテル治療後の外来での検査はどのようになりますか?
A: 退院から1ヶ月後に通院頂いて、レントゲン、心電図、経胸壁エコー、血液検査を行ないます。
Q: 未成年でも仙台厚生病院でカテーテル治療を受ける事が出来ますか?
A: 小学校高学年から可能となります。
Q: 術後にMRIを撮影する事は可能ですか?
A: 閉鎖栓はMRIに適合性がありますので問題はありませんが、MRI検査が必要となる場合は、事前に閉鎖栓を留置していることを告げてください。