診療科

心臓血管外科

専門治療

診療方針

二つの専属手術室と二つの手術チームを有し、多くの手術、難しい手術への対応が可能となっています。人工心肺装置を2台備えており、たとえば急性大動脈解離に対する緊急手術を2チームで並列して行うこともできます。「心臓血管外科の救急医療」体制が人員的にも設備的にも充実していることから、地域にとって大いに頼れる存在であると自負しております。

また、循環器内科と共に内科・外科の枠組みを越えて、患者さんのための最善の治療をチームで追求する体制も整えております。

年間450例ほどの手術を行っておりますが、手術成績は極めて良好です。近年は特に高齢の患者さんが増え、80歳以上の手術も多数行っております。リスクの高いケースでも、合併症を少なくし、高いQOLを維持して退院できるよう努めております。

合併症を防ぐためには、患者さんの全身の状態の把握と隠れた併存症を見つけることが重要であり、そのためには術前検査が必要です。当院では、消化器内視鏡検査を含めた術前精査を患者さんの負担とならないように1日の外来で行うことができます。

当院では、全ての手術を、希望するご家族にテレビで公開しております。今後も情報公開の原則を遵守し、患者さんの視点に立った医療を心がけていきますので、セカンドオピニオンも積極的にご活用下さい。

  • ICU:医師、看護師合同カンファレンス

    毎朝、患者さんの治療についてディスカッションを しています。

先端医療への取り組み

ミニポンプ・アシストの心拍動下冠動脈バイパス術

オフポンプ手術とオンポンプ手術の長所を合わせた方法で、欧米では主流になりつつあります。 いずれ日本でも主流になるものと思われます。

胸部および腹部大動脈瘤に対する低侵襲手術-ステントグラフト挿入留置術-

「ステントグラフト挿入留置術」は、ステントグラフト実施基準管理委員会で認定された、病院・施設及び医師のみが出来る手術です。

「動脈瘤は自覚症状があるのでしょうか?」

破裂するまで自覚症状は無いことが多いです。なかには、近接する臓器の圧迫症状として、遠位弓部大動脈瘤などではかすれ声になる嗄声などがあります。また、他覚症状として腹部大動脈瘤では、やせている方等は腹部の拍動する腫瘤を見ることが出来ます。

また、縮小することはありませんし、変化が無いこともあります。放置した場合、基本的には除々に拡大することが多く、破裂の危険性が高くなります。治療方法の判定は、大きさと範囲が重要になりますのでCTやMRI検査が必要となります。

「どのような治療方法があるのでしょうか?」

薬で治すことは出来ませんので、基本的には手術療法になります。開胸や開腹による外科的手術と、人工血管を留置するステントグラフト挿入留置術があります。 手術の適応となるのは、胸部大動脈瘤では瘤の最大径50mm以上、腹部大動脈瘤では最大径40mm以上とされています。一部だけが膨らむ嚢状瘤は小さくても破裂することがあるので、外科的手術をお勧めすることがあります。

「ステントグラフト挿入留置術について教えて下さい」

腹部大動脈瘤に対する腹部用ステントグラフトは、現在4種類が日本で使用できます。それぞれ利点・欠点がありますが、全症例が適用となる訳ではなく、解剖学的な形が合わないなどの理由で、動脈瘤の患者さんの一部(腹部では約5~6割)にしか出来ません。適応にならない患者さんは開腹手術が唯一の選択肢となります。

また、胸部大動脈瘤に対する胸部用ステントグラフトは、現在3種類が使用可能です。腹部用ステントグラフトと同様に、全ての患者さんに使用できる訳ではなく、解剖学的な制限によりステントグラフト治療の適応にならない場合もあります。

しかし、胸部大動脈瘤手術は腹部大動脈瘤に比べ手術の難易度が高く、患者さんへの負担も大きい手術です。ステントグラフトによる負担の少ない治療が可能であれば、患者さんは大きな恩恵を受けることができます。

そこで、当センターでは、脳や腕に分枝する血管にあらかじめバイパス手術を行う(debranching法)や手術とステントグラフトを併用する(open stent-grafting法)等の方法も積極的に導入しており、患者さんに負担の少ない治療法を追求しております。詳細については、是非一度当センターまで御相談下さい。

「手術成績が気になるのですが…」

腹部大動脈瘤の場合、日本では開腹手術による手術死亡率は約2~3%、ステントグラフトによる手術では1%弱とされています。合併症に関しても、開胸・開腹手術より少ないことが示されています。 しかし、新しい治療方法なので、遠隔成績が不明である事が不安の残る点であります。5年後の中期成績は良好ですが、最も進んだヨーロッパでも7年程度であり、術後10年・15年のデータはありません。

A氏 術前CT
A氏 術後CT
B氏 術前CT
B氏 術後CT
「入院期間と費用はどれくらいかかるのでしょうか?」

当院では、外来で術前検査を行い、手術日の4日前に入院していただきます。術後はCTにて問題がなければ5~7日ほどで退院することが可能です。

費用は、ステントグラフトそのものが200万円から250万円ほどで、加えて周辺機材(カテーテルやガイドワイヤーなど)、手術手技料・麻酔料や薬剤費、入院費等を含めて300万円から350万円ほどになります。 もちろん保険適用ですので、「限度額適用認定証」を活用すれば自己負担は10万円程で済みます。 また、退院後は元の生活に戻ることが出来ます。入院中のリハビリ期間も、開胸や開腹手術に比べると短く、回復が早いのが利点です。また傷が小さいので、痛みが少ないのも利点の一つです。

急性大動脈解離の緊急診療体制が整いました

長年懸案だった、循環器領域の緊急手術、特に急性大動脈解離の緊急手術に対応すべく、新たに心臓血管センターに手術室を1室増設し※、2室としました。心臓血管外科スタッフも2チーム制として24時間態勢で緊急手術に対応できる体制を整えました。

症例がございましたら、022-728-8119(直通電話)にご一報、ご紹介ください。

※国内で2番目のハイブリッド手術室(心臓カテーテル室と手術室の機能を一体化したもの)で、大動脈瘤に対するステントグラフト手術などにも威力を発揮します。

ハイブリッド手術室とは?

通常は、心臓カテーテル検査室と手術室は全く別の場所にあって、カテーテルを用いた手術は放射線部のカテーテル検査室で行い、一般の外科手術は手術部で行っています。両者の機能をひとつにまとめた手術室がハイブリッド手術室です。

平成21年3月25日、東北で初めて稼動し、近年発展の著しい大動脈瘤に対するカテーテルを用いた治療(ステントグラフト手術や経皮的大動脈弁置換術(TAVI))を無菌的な環境で行うことができ、安全性が大きく向上します。

大血管専用手術室(ハイブリッド手術室)ができることの意義

これまで十分対応することができなかった、急性大動脈解離や大動脈瘤の破裂に対する緊急手術が24時間対応可能となります。宮城県のみならず岩手県、山形県、福島県の緊急症例にも対応できる体制が確立できました。

ハイブリッド手術室のスペック

手術室:

  • 広さ 44㎡
  • 清潔度 クラス10,000
  • 手術台 ハイブリッド手術室用に日本で初めて厚労省に認可されたシステム

DSA(血管撮影装置):

  • 心臓カテーテル検査用として、充実のシステム
  • フラットパネル対応(くぼみのない画像で高解像度であることが特徴)
  • シネ画像とDSA画像が撮影可能

医療設備

心臓血管外科手術室

C当手術室の大きな特徴としては、専属の心臓血管センター手術室が2つあり、心臓血管手術に不可欠な人工心肺装置を2台導入しているため、いつでも手術が行えるような体制を整えています。
また、開設当初からライブ映像で患者家族へ手術を公開しています。

  • 人工心肺装置2台

    本邦でいち早く導入した自動記録装置や安全装置など、フルスペックのドイツ製「人工心肺装置」を2台導入していることにより、緊急時に2名の同時手術が可能です。 当院での人工心肺装置使用は、年間250例もの症例に上ります。 通常の心臓外科で平均で年間80例程度ですので、症例の豊富さは経験と技術を反映しているといえるでしょう。

ICU

循環器領域専門の病床が22床あり、そのうち8~10床は心臓血管外科術後のICUとして使用しています。ICU入室中も術直後から積極的にリハビリを進め、早期回復、早期退院につながるように努力しています。

  • PCPS装置(経皮的心肺補助装置)3台。

    緊急時の心臓補助循環装置。3台で24時間対応しています。

  • IABP装置

    (大動脈バルーンポンプ)7台。心臓補助循環装置。

  • 人工呼吸器15台。最新従圧式モードと従量式モードの人工呼吸器を装備し、重症患者さんの呼吸管理に絶大な能力を発揮します。
  • CHDF装置(持続的血液濾過透析)1台。腎臓の機能低下時に一時的に使用する人工透析装置。
  • HD装置(血液透析)2台。腎臓の機能を代行する人工透析装置。

10階病棟

病床数28床の心臓血管外科専門病棟です。100m近くある長くて広い廊下は、絶好の術後リハビリテーションの場で、万歩計をつけた術後の患者が朝早くから歩行リハビリに励んでいます。 早期離床、早期退院へ向け、スタッフ一同が支援します。

病棟の手術患者家族控え室の壁には、心臓血管センター手術室のビデオカメラと直結した液晶モニターが設置され、手術の模様が公開されています。

リハビリ

心臓リハビリ教室。月曜から土曜まで毎日開催しています。興味のある方は自由に参加できます。

患者さんの紹介について

救急患者さんをご紹介いただく場合

CCU看護師が対応致します。代表電話022-728-8000でも結構ですが、専用電話の方がスムーズにつながります。なお、モービルCCUが必要な場合は、その旨遠慮なくお申し付けください。

通常のご紹介の場合

外来診療におけるスケジュールは下記の通りとなっております。受診される場合は紹介状(診療情報提供書)と保険証をご持参の上、病院本館1階医事課新患窓口にお越しください。
予約が必要な診療科に患者さんをご紹介される場合は、事前にFAX連絡票をお送りください。

診察受付時間
8:30~11:00