肺を中心とした呼吸器の手術を行います
呼吸器外科では、肺を中心とした呼吸器系の治療を外科的に行っています。手術症例数は東北で最も多く、その中でも一番多いのは肺がんです。
肺がんが疑われるような肺のしこりや、縦隔腫瘍や肺転移も手術を行っています。
また若い方に意外と多いのが、気胸という肺が破れる病気です。破れた肺を切除する方法も多く扱っています。
呼吸器外科のチームは専門医が2名、外科専門医が1名、外科の専攻医が1名の合計4名で構成されています.
安全性、確実性を大原則に治療に当たっています
呼吸器内科・病理診断科・放射線科との連携も当院の強みです。週に3回程度カンファレンスをしており、常に密に情報共有をしています。患者さんの体調や体力、年齢などを踏まえて手術方法を考えています。
肺がんでも、術前からの画像所見の見直しを行い,手術だけでなく病理診断の内容に応じて呼吸器内科での追加の抗がん剤治療をセットしており、再発などでは素早く化学療法を行うことで予後の改善につながっています。
また、その他の科での検査・治療なども臨機応変にすぐに対応ができ,非常に入院全般において安全性が担保されます。このように大病院にはない横の垣根が低く、風通しの良いところも当院のメリットです。
低侵襲治療で社会復帰が早いことが特徴です
当科の特徴は、完全胸腔鏡下手術という小さい傷で行う手術を東北で最も早く導入し、多くの患者さんに行っており、非常に安全性が高く、確実な医療を維持していることです。術後の回復が目に見えて早いので、早期の退院、社会復帰が可能です。
肺腫瘍においては、術前に呼吸器内科で肺がんの診断がついて手術を行う場合、最初から肺がんの予定手術を行いますが、一方で診断がつかず、肺がんが疑われて手術になることもあります。
この場合、手術開始直後に確定診断を行います。がんではなく良性の病変だった場合は、肺の切除量を少なくし、手術後、生活における質の確保に努めています。
どんな状況でも病状に見合った対応を考えます
気胸は、突然、胸の痛みや息苦しさを起こす、救急対応となる病気です。仙台は大学や専門学校が多く、全国から集まった学生や、転勤などで来ている若い会社員の方が気胸の患者さんとして来院されることが多い印象です。 親御さんやご家族が特に離れて暮らしている方も多く、不安が募るのもこの病気の特徴です。
呼吸器センターとして24時間365日の救急受け入れ態勢を従来から行っており、当院は気胸の患者さんも積極的に受け入れている病院です。
この社会的な背景も重視し、初回発症時はご本人、ご家族のご希望も大切にして、手術だけでなく保存的に対応することも多いのが、当院の特徴です。
非常に再発の多い病気のため、負担の少ない胸腔鏡手術で年間100名弱程度の患者さんに手術を行い、早期退院ができ安心して生活が送れるようにしています。
呼吸器内科との連携を密に行っています
原発性肺がんについては呼吸器内科と密に連携をとりながら、切れ目のない加療を継続しております。その結果として、近年の術後の5年無再発生存率や補正生存率は、全国的にみても非常に良好な成績となっております。
患者さんの意見や希望を聞き、テーラーメイドでその方にあった治療を行っていますので、気兼ねなくご紹介いただければと思います。
仙台という地域は、大学、専門学校や会社の支社にいる若い方たちが、ご家族とは離れて本人だけが来院される方が多いですが,ご家族の関係も親身に話を聞き、地元で手術をしたいという要望も取り入れるなど、そんな仙台の地域性を理解した上で治療に当たっています。
若い医師を育てながら安全な医療を提供する、という命題
当院は東北で一番多い手術件数を扱っていますが、それだけたくさん行っているということはその分手術経験数も増えていきます。外科医は経験が非常に大事ですので、その経験が早いうちからできるということは、自分のスキルアップにもつながりますし、ひいては患者さんにとっても大きな恩恵になると思います。
私たちには手技や治療のコンセプトがしっかりありますので、それをきっちり教えることで安全性の高い、確実な手術を学ぶ場を若い先生方に提供できると思っています。
マッチする像としては、常に患者さんのことを治そうと思っていることは重要だと思います。患者さんを治すためにどうすれば良いか自立して考えられる人、一生懸命次に進もうと努力してくれる人、そういった人と是非一緒に働きたいと思っています。 私たちも若い世代をしっかり育てて、多くの患者さんに安全で確実な医療を提供できるように準備していきます。
経歴
- 神奈川県出身
- 1996年 愛媛大学 卒業
- 愛媛大学附属病院,市立宇和島病院,トロント総合病院
- 2010年より 仙台厚生病院