ご挨拶
理事長挨拶
働き方改革が国策として定着した昨今、当院は職員の疲弊とそれによる医療の劣化を防ぐため、通常と異なるアプローチを実践しております。それは、病院職員を過労と疲弊から守り、その活力によって、高度先進医療を24時間体制で提供しようというものです。そのために、「選択と集中」の原則を取り入れました。具体的には、総合病院であることを目指さず、選択した3つの領域、すなわち①心臓血管、②消化器、③呼吸器に病床や人員を集中し、おのおのを大型化~超大型化しました。そして、当院の守備範囲にない領域においては、多数の医療機関や1,400名を超える登録医との連携の中で解決する「分担と連携」という方式です。すなわち、「選択と集中」「分担と連携」は表裏一体なのです。
大型チームは医師やスタッフに余裕のある交代制をもたらします。それは24時間体制(6名から7名の医師による当直体制)を維持しつつも、担当スタッフが十分な休養をとることを可能とします。休養は、学習や研鑽に向かう体力・意欲を産み出します。学習や研鑽は、職員のモチベーションや診療技術の向上をもたらし、技術の向上は周囲からの高評価につながり、高評価は繁栄をもたらします。繁栄は、さらなる就労環境の改善につながって、当院はまさにその好循環の途上にあります。
これらの戦略・基本方針は、すでに幾多の成果を挙げております。その詳細は院長挨拶に譲りますが、仙台厚生病院の成功は、我が国の医療改革に寄与するものと確信し、980余名職員一丸となって、今後も努力を重ねてまいります。
診療管理者挨拶
仙台厚生病院は「選択と集中」「分担と連携」の基本方針の下、良質な高度先進医療を提供することで地域医療支援病院としての役割を果たして参りました。
近年の医学の進歩はめざましいものがあり、職員一同、常に最新の知識や技術を身につけ、より高度な医療を提供できるよう日々研鑚を積んでおります。その一方で、医療が高度化、複雑化するにつれ、あらたなリスクが増える危険性があり、安全、安心な医療を提供するためにやるべき仕事量は日々増加しております。
そのため当院では2015年より、従来の院長とは別に医療安全・危機管理を担当する「診療管理者」の職が創設され、院長経験者が就任するようになって、ちょうど現在私で5代目となりました。 これまで培ってきた『医療安全システム』を日々チェックし、アップデートすること、たとえ小さな問題であっても、『曲げず、隠さず、迅速に』をモットーに情報開示に努めること、この二つが安全・安心な医療を実践する上で大切であると考えております。
2024年5月には病院新築移転となります。全室個室という東北地方では初めてとなる環境の中で、今後も高度で安全な医療を目指して参りますので、皆様にはこれまで以上のご指導、ご支援を賜りたく何卒よろしくお願いいたします。
院長挨拶
病院移転が無事に終了し、新病院での診療を2024年5月7日より全面的に再開いたしました。心臓血管、呼吸器、消化器の3センターを中心として、質の高い医療を提供し、地域医療に貢献する、という当院の基本方針は、勿論、新病院でも引き継がれて参ります。
心臓血管センターは、心筋梗塞、急性大動脈解離などの一刻を争う疾患に対して、複数の専門医による当直体制を組み、365日24時間対応しています。循環器内科・不整脈科の心臓弁膜症や不整脈に対するカテーテル治療は、全国トップクラスの症例数を有しています。また、心臓血管外科では、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」による低侵襲心臓手術を今まさに開始しようとしています。
呼吸器内科は、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤などを用いた臨床治験を数多く担当しており、本邦の肺癌治療におけるトップランナーの地位を確立しています。呼吸器外科の胸腔鏡下肺癌手術も全国レベルの手術数です。
消化器センターは、食道癌・胃癌・大腸癌に対する内視鏡治療、鏡視下手術を得意とし、直腸癌と胃癌に対しては「ダ・ヴィンチ」を使った手術を開始いたしました。胆道疾患のインターベンションや難治性肝胆膵悪性疾患に対する高難度手術でも当院は東北地方を牽引しています。
各センターでの急性期疾患に対する治療の後は、「分担と連携」の方針により、地域の医療機関や、かかりつけの登録医の先生の下で継続診療を行っていただきます。継続診療をお願いした後も、登録医の先生方と綿密に連携し、当院での再治療が必要になった場合には迅速にお引き受けできるような体制を整えています。
新病院においても、さらに質の高い医療をお届けできますよう、職員一同、研鑽を積み重ねていきます。今後ともご支援、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。